RDS for Oracle 11g のサポートが終了間近です!
こんにちは、崔です。
そろそろ、RDS for Oracle 11g(11.2.0.4)のサポート終了が近づいてきました。
現在、RDS for Oracle 11g を利用している場合、どのような対応を行う必要があるのか確認していきましょう。
TL;DR
- サポート終了日 2020/10/31(LI), 2021/1/31(BYOL)までに手動でアップグレードする
- 期間内に手動アップグレードしない場合、サポート終了後のメンテナンスウィンドウ内で自動アップグレードされる
- 11gでは利用できていたmicroインスタンスが、12.2.0.1以降のバージョンでは利用できなくなる
- SEでは8xlargeまで利用できていたが、SE2だと4xlargeまでしか利用できない
- SE2で4xlargeインスタンスを利用するか、EEで8xlargeインスタンスを利用するか
- ライセンス料金にも注意
- サポート終了後は、11gのスナップショットからリストアしても19cにアップグレードされる
- サポート終了の前後3か月で、11gのスナップショットをメジャーバージョンアップグレード可能
サポート終了について
まず、現在の Oracle Database のリリーススケジュールは下記リンクから確認可能です。
2020/6/11 にリリースノートが更新され、19cのサポート期限が2027/4/30まで延長されていました。
各バージョンのサポート終了日は次のとおりとなっています。
メジャーバージョン | プレミアサポートもしくは 延長サポート終了日 |
---|---|
11.2.0.4 | 2020/12/31 |
12.1.0.2 | 2022/7/31 |
12.2.0.1 | 2022/3/31(限定的なエラー修正) |
18c | 2021/6/8 |
19c | 2027/4/30 |
メジャーバージョン 11.2.0.4は、2020/12/31でサポート終了です。
では、サポートが終了する場合、どのような対応が必要か、AWSのForumsで案内された内容をベースに、確認していきます。
RDS for Oracle 11g について
インスタンスについて
RDS for Oracle では、License Incluede(以下、LI)と持ち込みライセンス(以下、BYOL)の2種類の利用方法があります。
11gの場合、LIではStandard Edition 1(以下、SE1)を利用できます。
また、BYOLの場合はEnterprise Edition(以下、EE)、Standard Edition(以下、SE)、SE1の全てのエディションを利用できます。
Oracle社は、Oracle Database 11.2.0.4 のサポートを、2020/12/31に終了することを発表しています。
RDS for Oracle 11g では、BYOLのEE, SE, SE1について、同様に 2020/12/31 で終了となります。
しかしながら、LIのSE1のサポートは2020/10/31で終了となります。(2か月早いです)
さらに、サポートが終了する3か月前からRDSインスタンスの新規作成が出来なくなります。
LIの場合は2020/8/1以降、BYOLの場合は2020/10/1以降になると新規作成できません。
エディション | ライセンス体系 | サポート終了日 | 新規作成不可 |
---|---|---|---|
SE1 | LI | 2020/10/31 | 2020/9/1 〜 |
SE1 | BYOL | 2020/12/31 | 2020/10/1 〜 |
SE | BYOL | 2020/12/31 | 2020/10/1 〜 |
EE | BYOL | 2020/12/31 | 2020/10/1 〜 |
また、既存のインスタンスは、サポートが終了するまでに手動でアップグレードする必要があります。
期間内にアップグレードしなかった場合は、それ以降の期間のメンテナンスウィンドウ内で、自動で 19c にアップグレードされます。
LIのSE1はLIのSE2に、BYOLのSE1はBYOLのSE2に、BYOLのSEはBYOLのSE2にアップグレードされます。
(BYOLのEEはそのままBYOLのEEとして19cにアップグレードされます。)
エディション | ライセンス 体系 |
手動アップ グレード期間 |
自動アップ グレード期間 |
アップグレード先 エディション |
---|---|---|---|---|
SE1 | LI | 〜 2020/10/31 | 2020/11/1 〜 | 19c SE2 |
SE1 | BYOL | 〜 2020/12/31 | 2021/1/1 〜 | 19c SE2 |
SE | BYOL | 〜 2020/12/31 | 2021/1/1 〜 | 19c SE2 |
EE | BYOL | 〜 2020/12/31 | 2021/1/1 〜 | 19c EE |
アップグレードの際に気をつける点があります。
まず、LIのSE1からLIのSE2にアップグレードする場合、インスタンスの利用料金が少し変わります。
あらかじめ、確認しておきましょう。
料金 - Amazon RDS for Oracle | AWS
また、19cや18c, 12.2.0.1 では、11gではサポートされていたmicroインスタンスがサポートされていません。
そのため、11gでmicroインスタンスを利用していた場合は、smallインスタンスへのスケールアップが必要になります。
こちらも、利用料金が変更になるので気をつけましょう。
Amazon RDS での Oracle - Amazon Relational Database Service
また、BYOLの場合、ライセンス料金も確認しておいた方がいいでしょう。
特に、SE1からSE2に変わる場合は、金額が大幅に変わることが想定されます。
(SEからSE2、EEからEEの場合も確認することをおすすめします。)
さらに、ライセンス上、注意する点もあります。
RDS for Oracle SE では、8xlargeインスタンスまで利用することが可能でした。
しかし、RDS for Oracle SE2 では、4xlargeインスタンスまでしか利用することができません。
(これは、SEでは最大ソケット数4まで利用可能だったものが、SE2では最大ソケット数2までしか利用できないことに関連します)
クラウド・コンピューティング環境における Oracle ソフトウェアのライセンス
そのため、現在、RDS for Oracle SE を8xlargeインスタンスで利用している場合は、
- RDS for Oracle SE2 を4xlargeインスタンスで利用する
- RDS for Oracle EE を8xlargeインスタンスで利用する
のどちらかの対応になると思います。
性能的に4xlargeインスタンスでも問題なければ、SE2を利用するのが良いでしょう。
ライセンス料金もおおよそ半額になります。
しかしながら、4xlargeインスタンスだと性能的に問題があり、引き続き8xlargeインスタンスを利用したい場合は、EEにアップグレードすることになります。
ただ、この場合、ライセンス料金の負担が非常に増加します。
例えば、Single-AZの8xlargeの場合、ハイパースレッディングの32vCPUなのでソケット数4、もしくは16Processorとカウントされます。
SEの場合はおおよそ840(4x210)万、EEの場合はおおよそ9,120(16x570)万となります。
10倍以上ですね…
(注意:ライセンス料金については、Oracle社もしくは代理店に必ずご確認下さい)
スナップショットについて
次に、スナップショットの取り扱いを確認します。
サポート終了日以降に、11gのスナップショットまたはPITRからリストアした場合、自動的に19cにアップグレードされます。
サポート終了から3か月経過すると、11gのスナップショットからは戻せなくなるようです。
また、サポート終了の前後3か月間で、取得済みのスナップショットのメジャーバージョンをアップグレード可能となるようです。
ライセンス 体系 |
サポート 終了日 |
スナップショットからリストア後に 19cへ自動アップグレードされる期間 |
スナップショット自体のメジャー バージョンアップグレード期間 |
---|---|---|---|
LI | 2020/10/31 | 2020/11/1 〜 2021/1/31 | 2020/9/1 〜 2021/1/31 |
BYOL | 2020/12/31 | 2021/1/1 〜 2021/3/31 | 2020/10/1 〜 2021/3/31 |
さいごに
サポート終了すると、稼働しているインスタンスはメンテナンスウィンドウ内でアップグレードされます。
また、スナップショットからのリストアも自動アップグレードされます。
可能な限り、事前にテストを実施して、手動アップグレードでの対応をおすすめします。
また、BYOLの場合は、アップグレードに向けたライセンス確認を忘れないようにしましょう。
18c のアップグレードはこちらで。
公式ブログも公開されました。